2014-01-01から1年間の記事一覧

中3の頃③

テレビを観ていて、何となく気になる人がいた。日曜日にやっていた笑っていいとも増刊号で人生相談のコーナーの回答者をやっている人だった。派手なロックミュージシャンのようだけれど、その姿とは裏腹にとても口調が優しくて人生相談に対する答えも独特だ…

中3の頃②

新しい生活には慣れてきたけれど、私は思春期にさしかかってきておりとても気難しい性格に変わっていった。学校も苦痛だったし、家にいるのも苦痛だった。前の家で飼っていた犬はアパートでは飼うことができず、大家さんの親戚に引き取って貰ったのだけれど…

中3の頃

中3の春、両親が別居した。ケンカが絶えない夫婦だったけど、その日は何となくいつもと様子が違っていた。私は本能的に危険を察して、寝ている妹を起こし、荷物をまとめるように言った。案の定、母が来て「出て行くから荷物まとめなさい」と言った。真夜中だ…

だいちゃん

だいちゃんという人と1年くらい交際していた。だいちゃんというのは偽名だったのだけど、それがわかってからも私は偽名で呼び続けた。だいちゃんは、えみちゃんのセフレだったんだけど「多分タイプだと思うよ?」と言われたのと、聞いたらすごい近所だったの…

優しかった人

えみちゃんは弟と美人局をしていた。えみちゃんの弟は少年院に入ったことがあるそうなんだけど、そんなふうには見えないとても優しい男の子だった。でも恐喝や詐欺行為をやることに対して何の躊躇もないようだった。えみちゃんも弟も、私のことを同種の人間…

一人暮らしを始めた日

19歳の時、何があったのか。それは両親の復縁だった。母子家庭の生活はそれなりに大変だったけれど、でも私は今まで感じたことのないような安心感を得ていた。母と、妹と、わたし。女3人の暮らしは、慎ましいけれどとても自由だった。男の人がいると、どうし…

育った家

私の家庭はいわゆる機能不全家庭だった。父親は酒乱で、母親はヒステリックで、兄は意地悪で暴力的だった。常に誰かが殴り合い、暴言を吐きあい、物が壊れ、誰かが泣いている。家の中はめちゃくちゃだった。小さい頃からそれが日常で当たり前のことだった。…

特殊な店

同じヘルスでもイメクラとかマット専門店とか人妻店とか色々種類があるのだけど、私が働いた中で最も特殊だったのは、前立腺マッサージ店だった。その店はオプションとして前立腺があるというわけではなく、前立腺がメインだという非常に特殊な店だった。前…

あやしい店

風俗店の経営者というと危ない人、というイメージではあるけれど、その元締は別として、そこで働いている店長や店員は、本当に優しい人ばかりだった。しかしやはり怖い人もいる。最初に面接に行った時、なにか違和感はあった。この陰湿さはなんだろう、と。…

相性が悪い人

19歳から23歳までの間は風俗と普通のバイトを行ったり来たりしていたのだけど、唯一辞めずに4年間続けたバイトがあった。神前式の巫女である。処女の象徴のような巫女さんをやった後に風俗で働いたり知らん男とセックスしたりするというのは、大変ばち当たり…

悪夢ふたたび

半年くらい付き合って、それが会社のひとばれてしまい私は仕事を辞めた。少しも揉めずにお互いの配偶者にはバレることなく終わった。でも私はそのあとまた調子が悪くなり、フラフラと風俗の面接に行った。そして少し働いたのだけど、昔のように充実感は感じ…

汚点

結婚をして、出産したあと、私は生まれ変わったようになった。自分にはもう役割がある、と確信したから。昔のような苦しみからは完全に解放されたし、2度とあのような目に合うことはない、と思った。出産して3年ほど経った後、私は介護の仕事を始めた。その…

生きることの執着

いつも危うかった。生と死はとなりあわせだった。私には、いつも身近に死があった。ある日、家でラジオを聴いていると、南北線で人身事故があったと伝えていた。自殺かな…と思った瞬間、私は今日、自分も死ぬ日なのだと思った。本当に、雷に打たれたように、…

生きている実感

生活は荒れていたけれど、相変わらず生きる目的を探し続けていた。納得できないことはしたくなかった。何をやるにもいちいち理由が必要だった。その頃私は、恋人が途絶えることがなかった。いつも誰かと恋愛をしていて、それは結婚を前提とした真剣なものだ…

コツ

風俗の仕事について、私はコツのようなものを掴んでいた。多分ほんとうに向いていたのだと思う。大きく分けて、ソープ、ヘルス、ピンサロがあるが私はもっぱらヘルスで働いていた。ソープは本番があるし、というか本番に抵抗があったわけではなく、よりプロ…

抜けられない理由

私はたくさんの仕事をしていた。何をやっても長続きしなかったけれど、何もやっていないという時期はなかった。普通の仕事と風俗とをいつも行き来していた。更生したい、といつも強く思っていたけれどなかなか風俗から完全に抜けることができなかった。風俗…

スナック

えみちゃんは、施設育ちだった。私たちがそんな生活をしている時にえみちゃんの父親が刑務所から出所したという話を聞いた。父親はスナックを開き、えみちゃんはそこで働くことになった。彼女は風俗の仕事が向いていなかったみたいで、しぶしぶラブホテルの…

転々とする

最初の店はすぐに辞めた。でも次の日には違う店に面接に行っていた。そこは大きな老舗店で、完全個室でシャワーも部屋にひとつずつ付いていた。社長と面接をして、すぐ講習となった。社長を客に見たてての講習。風俗業を志す人は、これが最大の難関というく…

やっぱり

テレクラから足を洗った私は、ヘルスの面接に行った。とても小さい店で、一応個室はあったけれどお布団1枚敷けるだけのスペースでシャワーも共同だった。そこでは先ぱい嬢にサービスの流れを3分くらい教わり、即本番だった。暗くて相手のことはよく見えなか…

さらに

テレクラは勢いを増す一方だった。でもそれに比例して怖い目に合うことも多くなっていた。一度ホテルに置き去りにされると、相手を疑うようになり、ゆっくりシャワーを浴びたりすることもできなくなっていた。えみちゃんと2人で出掛けた時には山で置き去りに…

呉服屋さん

呉服屋だという彼は40歳くらいだった。黒塗りの、高そうな車に乗っていて、見なりもきちんとしていて、お金持ちに見えた。最初彼は「なんでこんなことやってんの?」と私に聞いた。「テレビ持ってないから欲しくて」と言ったらすごくそれがウケて、君はとて…

ゆうじくんがいなくなる

ゆうじくんは学校を卒業して千歳に就職してしまった。不思議とそれほど悲しくなかった。私はえみちゃんと毎日遊ぶようになった。えみちゃんはテレクラで援助交際をしていた。その頃、母親が、あまりに私と連絡がつかないので家に電話を引いてくれた。私も、…

1人暮らし

アパートを借りて1人暮らしが始まった。私はアルバイトをいくつかかけもちして生活していた。いつもお金がなかったので、冷蔵庫も洗濯機も何にもなかった。1人暮らしをすると言ったら父親が「家電を買いなさい」と10万円くれたのだけど、それ全部使ってコン…

休学

私はだんだんと学校に通えなくなっていた。何度も単位を落としそうになりながらも何とか1年生を終えたけれど、精神的にはもうぎりぎりだった。夜通し遊ぶようになり、毎日朝帰りの私に母は「勝手なことをするならもう出て行きなさい」と言っていた。それまで…

えみちゃん

美容師見習いの彼とはすぐ会わなくなった。そしてまた友人とススキノで遊ぶようになった。友人はススキノの温泉施設でバイトをしており、そこに紹介してもらい一緒にバイトするようになった。そこでえみちゃんという一つ年下の女の子と友だちになった。今で…

美容師見習いの彼

彼は人生初の恋人ということになった。彼はそのことに満足げであった。でも私はその時、知らない男にハサミで処女膜を切られていた。彼は美容師見習いと言っていたけど、本当はもう辞めていてプラプラしていた。自動車教習所ですら途中でやめたという、筋金…

鍋パーティー

最初にナンパしていただいた健全な3人グループと一緒に、友人宅で鍋パーティーをすることになった。向こうも友だちを呼ぶし、友人も、学校の友だちを連れてくるね、ということで合コン的なものであったかと思われる。8人くらいで鍋パーティーをした。8人くら…

医者と

医者だという彼とはその後も結構会っていた。恋愛感情は無かったけれど、何となく私は満足していた。ただ、絶対に医者だとは信じていなかったのだけど、実は本物の医者であった。私はその時、短大に行っていたのだけど、大学名を言うと「あぁ…○○って子がうち…

お医者さんカバン

医者が処女膜を切るなんてこと、するのだろうか…心底怖かった。彼はその黒いカバンから、手術で使うような先が丸まった長いハサミを取り出し、それを使って処女膜を切ると言った。されるがままに、切って貰う…いや…そんなもので切れるのかはわからない。そし…

また行く

私が初めて男とホテルに行った日、友人が何をしていたのかよく知らない。あとからその話をすると、友人は「でかした。また行こう」というようなことを言った。そして何日も経たないうちにまたススキノへ繰り出した。その日は友人がたまに行くというクラブに…