野菜と話を詰める

また別荘行く。 
昨日はヤマギシの話ばっかり…

「友だちに、ヤマギシはカルトだから今すぐ野菜とは手を切れって言われた。脱会させるためにヤマギシに乗り込む自分がもう見えるって言われた」と言うと「そっかそっか2ちゃんねるとか読めばそうなるよなぁ」と野菜は他人事のように笑っていた。 
野菜に、君の感想は?と聞かれ
「あの本読んだら合点がいくことが多かった。野菜はけっこう意味のわからないのことを言ったり独特な言い回しをするけれどそれはヤマギシイズムだったんだってやっとわかった。ヤマギシを憎んでいると言っていたけど完全に否定はしていないし、むしろヤマギシの思想にかなり染まってる人なんだなと思った。だけど私はヤマギシユートピアは結構ありだなと感じた。言い方悪いけど育児放棄とかシングルマザーで生活困窮しすぎてるとか、働く能力がなくて最底辺の生活してる人とか、全部ヤマギシに行けば幸せになれそうって思った。自由がなくなってもいいから生活の安定を保証して欲しいと望む人はたくさんいるはず。生活保護なんかよりよっぽど完ぺきなシステムだと思う」と、率直に感想を述べる。野菜はフンフンと聞き「その通りだねぇ。俺は自分がヤマギシ出身だと殆ど人に話したことがないのだけど、そうやって第三者の意見を聞くのはいいね」と言った。

以下野菜の話

俺は5歳からヤマギシに入れられた。札幌で普通の生活をしていた記憶も少しはある。
君に貸した本は実は読んでいない。ヤマギシの批判を聞きたくないっていうんじゃなく、第三者から見たヤマギシを知りたくない、気持ち悪いと感じるから。俺は今の自分が好きだから俺という人間を形成したであろうヤマギシでの生い立ちを否定されたくない。
本には子ども達は虐待されたと書いてあったそうだが俺はそう思っていない。確かに朝から晩まで鶏の世話、農場の仕事をやらされていたし、いつも腹を空かせて雑草まで食ったし、ヤマギシイズムを学ぶために長時間の正座やら、親から離されるとか、普通の子どもが体験しないような生活はしてきたがそれはそんなに嫌なことではなかった。
小学校も中学校も公立だから、ヤマギシ以外の人間とも関わる機会はあった。だから俺はヤマギシが変だということも知っていたし、ヤマギシイズムを学ばなければならない時も、何という答えを出せば世話係が喜ぶかということを知っていたから、頃合いを見てその回答を出し話が早く終わるように計算していた。
正直俺の思想のベースはヤマギシにあるが、洗脳というよりは順応していたという感じ。
両親と姉は今でもヤマギシにいるし、弟はヤマギシではないがヤマギシ関連の仕事をしている。俺は唯一抜けたが、それは自由が欲しかったから。ヤマギシのやり方は悪いとは思ってないし、あのユートピアは本当に良いシステムだと思う。現にヤマギシには莫大な資産があって、会員は死ぬまで生活が保証されている。例え何もしなくても飯は食えるし衣服も与えられ洗濯して貰えるし医療も老後も心配ない。旅行もいけるし娯楽品も買える。自由がなくてもいいから楽して生きたい、ということであればヤマギシに居続けたと思う。でも俺はヤマギシで叶えることができない夢を持っているから戻る気は全然ない。もし病気になって金もなくなって路頭に迷うことがあればヤマギシに戻るかも知れないけど。
ただ俺が好きなヤマギシは昔の無骨にひたすら農業や養鶏をやるヤマギシであって、今の宗教じみたユルい潤い過ぎたヤマギシは嫌い。今のヤマギシの人間は物欲にまみれ俗っぽいことをいう奴が多くて、むしろ逆に「無所有の精神はどこいったんですか?」と詰め寄ることもある。俺はヤマギシの人間以上にヤマギシだったりもする。

うーむ…
5歳からヤマギシの英才教育を受けたわりにはあり得ないほど冷静だし、自分の思い込みは無くそう視野を広くしようと常に努力してると感じた。
ヤマギシがいいとか悪いとかは全然別の次元の話で、とにかく自分の生き方に自信を持っていて堂々としている野菜は素敵だなと思った。

そのあとセックスしながらまた将来のことなどを話すけど
野菜がわたしとの子どもが欲しいとか結婚したいとか、本気なのかいまいちよくわからない。と言うと
「俺はこれでも精いっぱい君への愛情を示してるつもりだけど元々愛を語ったりする人間じゃないし、もっともっと愛をくれと言われてもそれには応えられそうにない」とか言ってるので
「別に小娘みたいに愛してるって言って!とか主張してるわけじゃなく、野菜の言うことって子ども産んで欲しいとか、君は上手く育てそうだもんとか、他に若い子が降ってきたらまあそれもいいなとは思うけど君はやっぱり実績があるから安心感がある、とかいう子育てに関する条件しか言わないでしょ。私は子ども産むなら、単に子育てしたいからとかじゃなく、やっぱり大好きで尊敬できて今後もずっと一緒にいたいと思える人と子作りしたいと思うわけ。野菜にはそれがない。私を、俺の子を産んでくれそうな子育てマシーンとして見てるように感じる」と言う。
野菜は「そんなことないのだけどなにも反論できない…」としょんぼりしていたが
「君ほど短期間にたくさん話した人はいないよ。やっぱり10年以上ぶりに俺は本気の恋愛をしていると実感している。俺はしばらく君から離れる気はないし、他の人とやりまくるとか風俗いくとかいうのも嫌なのはほんとだけど縛りつけても君は逃げてくだけの気がしてるからじっと待っている」とのこと。

じゃあ子ども産まなくても私とずっと一緒にいるの?ときくと
「それはね、子どもできるかできないかっていうのは何年かはかかるはずだから、君の年齢考えるとあと数年だろうけど、それはその時にならないと俺と君の関係性がどうなるかなんてわかんないのは君だってそうでしょ?だけどね、その時は俺も腹くくるっていうかさ、心底子どもは欲しかったけど、諦めて君と仲良く過ごすよ。子どもを産んでくれそうな若い子に走るって気はしない」

やっぱ順番メチャクチャだから
話がまとまんねぇな…