バファリン
21歳。生きている実感があまりなかった。
周りに悪い人がたくさんいた。少しノイローゼ気味だったと思う。
いつも生きる目的を探していたけれど、もしそれが見つからず万が一死ぬことになってしまったら、ゴミ袋に自ら入ろうと思っていた。
そのまま捨てられるように。
いや破けるでしょ…と今ならわかるのだけど、若くアホな私はそのためのゴミ袋も準備していた。
テレビを持っていなかったので
ラジオを聴くことが多かったのだけど
その日はラジオで南北線の人身事故があったと伝えていた。自殺かな…と思った。
そして私はその瞬間、
今日はわたしも死ぬ日なんだと思った。
本当に雷に打たれたように、そう確信した。
急いで薬局に走りバファリンを買う。
バファリンで死ぬか知らないけど…
なんとなく強いクスリ、という感覚があったのでたくさん飲めば死ぬとおもった。
そして一気に38錠くらい飲んだ。
口にほおばりすぎて2個くらい飛び出していた。
私は横になり、死ぬのを待ったが
なかなか死ぬずそれどころか激しい耳鳴りに襲われる。
あまりの痛さにバタンバタンと床をのたうち回る私…
断末魔ってこういう感じでしょうか…
ゴミ袋に入ってる場合じゃないっつーの…
そこからの記憶はかなり曖昧ですが
とにかくたまたまえみちゃんが電話をくれたらしい。
で、電話口で完全にラリってる私に危機を感じたえみちゃんは
美園からタクシーに乗ってうちに駆けつけてくれて、そのままタクシーに私を乗せ大通の
救急センターに連れて行ってくれた。
医者が呆れ顔で
「バファリンじゃ死ねないんだよ…」と言ったのをすごく覚えています。