美容師見習いの彼

彼は人生初の恋人ということになった。彼はそのことに満足げであった。でも私はその時、知らない男にハサミで処女膜を切られていた。
彼は美容師見習いと言っていたけど、本当はもう辞めていてプラプラしていた。
自動車教習所ですら途中でやめたという、筋金入りの怠け者であった。
彼はバンドマンで布袋寅泰を超リスペクトしていた。私はバンド好きだったので、何となくそこに惹かれていたのかも知れない。だけど、こいつ怠け者でダメ人間だなぁ…という思いは拭えなかった。
初めてのデートで、狸小路に行った。手を繋いで歩いたんだけど、実際あまり楽しくなかった。彼は乱交に加わらなかった私を「そういう子が好き。大事にしたいからすぐセックスとかしない」と言った。乱交に加わらないほうがむしろ普通なんですが…でも処女膜ハサミで切られてますが…。
少女まんがのような恋愛のステップを踏もうとする彼のやり方に少し失望していた。私が望んでいるのは、こういうことじゃない…